2020年(令和2年)から基礎控除と給与所得控除の控除額が改正されることを知っていますか?
今回の改正で年収850万円超のサラリーマンは増税になります。
- 給与所得控除が一律10万円減る→増税
- 基礎控除が一律10万円増える→減税
- 給与所得控除額の上限が「年収1,000万円超で220万円」から「年収850万円超で195万円」に
- 所得が2,400万円を超えた人から基礎控除が段階的に減る
- 22歳以下の子どもや介護を必要とする家族がいる人は増税の対象外
- 2020年の年末調整から所得税に反映
- 2021年6月からの住民税に反映
いつまで経っても給与が上がらない僕たちサラリーマンにとって、納める税金が増えれば家計に大打撃です。
サラリーマンの税金は給与から自動天引きされるため、為すすべはありません。
経費が使える個人事業主と違い、節税対策が限られているサラリーマンは不利な職業です。
このままでは税金が上がる!?と、ビクビクしているサラリーマンは多いかと思います。
2020年からサラリーマンにどんな影響があるのか、増税になってもならなくても誰にでもできる節税対策とあわせて解説していきます。
最後までお付き合いくださいね。
控除・基礎控除・給与所得控除とは
そもそも控除・基礎控除・給与所得控除ってなんなの?というところから解説していきます。
- 控除・・・給与や収入から差し引ける金額のこと。控除が減れば納める税金が増えて、控除が増えれば納める税金が減る
- 基礎控除・・・個人事業主、サラリーマン、パート、アルバイト問わず、給与や収入を得ていれば誰でも一律で控除される
- 給与所得控除・・・個人事業主でいう経費みたいなもので、給与や収入に対して一定の金額が控除される
基礎控除は減税
2020年から10万円プラスされて所得税では48万円、住民税では43万円の控除を受けることができます。
サラリーマンには、うれしい減税です。
【改正前】
| 合計所得金額 | 所得税 | 住民税 |
| 2,400万円以下 | 38万円 | 33万円 |
| 2,400万円超~2,450万円以下 | 38万円 | 33万円 |
| 2,450万円超~2,500万円以下 | 38万円 | 33万円 |
| 2,500万円超 | 38万円 | 33万円 |
【2020年から】
| 合計所得金額 | 所得税 | 住民税 |
| 2,400万円以下 | 48万円 | 43万円 |
| 2,400万円超~2,450万円以下 | 32万円 | 29万円 |
| 2,450万円超~2,500万円以下 | 16万円 | 15万円 |
| 2,500万円超 | 適用なし | 適用なし |
2,400万円超からは段階的に控除額が減ってくるので、超リッチなサラリーマンにとっては増税となります。
とはいえ、高所得層に当てはまるサラリーマンは少ないので一般的なサラリーマンは気にしなくていいでしょう。
給与所得控除は増税
サラリーマンの年収に応じて決まる「給与所得控除」の控除額が一律10万円のマイナスです。
【改正前】
| 年収 | 給与所得控除 |
| 180万円以下 | 収入金額×40%、65万円に満たない場合には65万円 |
| 1,80万円超~360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
| 360万円超~660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
| 660万0,000円超~1,000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
| 1,000万円超 | 220万円(上限) |
【改正後】
| 年収 | 給与所得控除 |
| 162万5,000円以下 | 55万円 |
| 162万5,000円超~180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 |
| 180万円超~360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
| 360万円超~660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
| 660万円超~850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
サラリーマンには悲しい増税ですが、基礎控除の減税分と合わせるとプラスマイナス「ゼロ」で税額は変わりません。
ただし、給与所得控除の上限額が「年収1,000万円超で220万円」から「年収850万円超で195万円」に引き下げられます。
この影響で年収850万円を超えてくる「ちょびリッチなサラリーマン」には増税、ということになります。
増税額はいくら?
では、実際にいくら増税になるのか見ていきましょう。
| 年収 増税額(年間) | 年収 増税額(年間) |
| 850万円 | 0円 |
| 900万円 | 1万5,000円 |
| 950万円 | 3万円 |
| 1,000万円 | 4万5,000円 |
| 1,500万円 | 6万5,000円 |
| 2,000万円 | 6万5,000円 |
| 3,000万円 | 31万円 |
| 5000万円 | 34万2,000円 |
(参考元:日経新聞より)
子育て世帯や介護世帯を除くサラリーマンで、年収850万を超える優雅な家庭が増税のターゲットです。
サラリーマンと違いフリーランスや自営業者の個人事業主には給与所得控除がない分、基礎控除が10万円増えて減税という結果になります。
サラリーマンにおすすめの節税対策
サラリーマンにできるおすすめの節税対策を3つ紹介します。
- ふるさと納税
- iDeCo(イデコ)
- 医療費控除とセルフメディケーション税制
ふるさと納税

ふるさと納税を簡単に言うと寄付です。実質2,000円の寄付でお礼の品がもらえるお得な制度です。
応援したい自治体に寄付することで、各自治体のお肉やお米、フルーツ、魚などの特産品を楽しむことができます。
ふるさとチョイスなどのポータルサイトを利用すれば、全国各自治体のお礼の品を見比べて選ぶことができます。
ひとつの自治体だけでなく、複数の自治体に寄付することも可能です。
【メリット】
- 寄付した額から2,000円を引いた金額が所得税や住民税から控除される
- クレジットカードを使った寄付が可能なので、各クレジットカード会社のポイントが獲得できる
【デメリット】
- ふるさと納税で控除される額には上限がある
iDeCo(イデコ)

iDeCo(イデコ)を簡単に言うと個人年金です。厚生年金では足りない部分を補って、老後資金に困らない生活を送るための制度です。
毎月一定の金額を積み立て、定期預金や投資信託などを自分自身で運用し、60歳以降に年金または一時金という形でお金を受け取ることができます。
【メリット】
- 積み立てた金額の全額が所得控除の対象になるため所得税・住民税が節税できる
- 運用で得た定期預金利息や投資信託運用益が「非課税」
- 受け取るとき「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象
【デメリット】
- 高度の障害を負った・死亡した場合を除き、60歳までお金を引き出せない
- iDeCo用の口座の開設と維持に手数料がかかる
- 運用の結果次第で受け取る金額が積み立てた額よりも少なくなってしまうこともある
医療費控除とセルフメディケーション税制

医療費控除を簡単に言うと医療費の負担を減らす方法のひとつです。
予想を上回る医療費で家計に負担がかかった場合、決められた手続きをすることで所得税や住民税が安くなる制度です。
- 1月1日から12月31日の1年間に支払った医療費が10万円を超える場合、10万円を超えた金額部分が控除の対象
- 総所得が200万円未満の場合、10万円でなく総所得金額の5%を超える部分が控除の対象
他にも、定期健康診断や予防接種などを受けていることを条件に、対象となる市販薬を年間12,000円(家族の購入分を含む)を超えて購入した人は、12,000円を超えた金額部分が88,000円を上限として控除を受けることができる「セルフメディケーション税制」という制度もあります。
医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。自分にとって節税効果が最大になる有利な方を選んでください。
【メリット】
- お金の出どころが同じなら家族分の医療費、通院費、クスリ代をひとつにまとめることができる
【デメリット】
- 会社で行う年末調整では医療費控除はできないので、個人で申告書を作成し申告する必要がある
まとめ
給与所得控除や基礎控除の改正は、2020年分(令和2年分)以後の所得税について適用されます。
それに対応し、1年遅れて2021年度(令和3年度)以後の住民税について適用されます。
今回、増税を免れたサラリーマンもいつ狙い撃ちされるかわかりません。
サラリーマンにできる節税対策を活用して、迫り来る増税を乗り切っていきましょう。
現場から、ともぞうがお届けしました〜
おしまいっ




